登録支援機関とは?メリットや委託すべきケースを徹底解説
特定技能外国人を受け入れる際は、外国人材を支援する体制が整っているなどの基準を満たす必要があります。特に、1号特定技能外国人の受入れに当たっては、支援計画を作成し、各種支援を実施することが義務付けられています。自社で要件を満たしている場合は自社のリソースを活用して支援できる可能性もありますが、現実的には多くの課題があると考えられます。
今回は、1号特定技能外国人の支援を登録支援機関に委託するメリットや、委託すべきケースを解説します。
目次
1.登録支援機関とは
登録支援機関とは、1号特定技能外国人(以下、「特定技能外国人」と記載)の受入れ企業に義務付けられている支援業務の委託を受ける機関です。
特定技能外国人への支援は義務的支援と任意的支援に分かれ、受入れ企業は原則として義務的支援のすべてを担わなければなりません。しかし、自社での支援が困難な場合や要件を満たしていない場合は、支援の全部または一部を登録支援機関へ委託することができます。
登録支援機関の支援内容は、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
登録支援機関に委託できる義務的支援の内容!委託は必須?
前述したように、以下の要件を全て満たす場合は自社でも特定技能外国人を支援できます。しかし、要件のいずれかを満たしていない場合には、登録支援機関に委託する必要があります。
・直近2年間で外国人労働者(中長期滞在者)の受入れまたは管理を適正に行った実績があること
・直近2年間に外国人労働者の生活相談業務に従事した者(支援責任者・支援担当者など)がいること
・上記と同等に支援業務を実施できると出入国在留管理庁長官から認められていること
出典:「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(出入国在留管理庁)
初めて外国人労働者を受け入れる企業は、そもそも受入れ機関の要件を満たす特定技能所属機関ではありません。すべての支援を登録支援機関に委託する必要があります。
登録支援機関と一口に言っても人材紹介・派遣タイプや教育機関タイプなど複数のタイプに分かれます。それぞれに異なる特徴や強みがあるため、支援内容や費用、対応言語などを比較して選ぶことが大切です。選び方のポイントは以下の4つです。
・希望する支援を受けられる機関を選ぶ
・支援内容が委託費用に見合う登録支援機関を選ぶ
・受け入れたい国の言語に対応している登録支援機関を選ぶ
・トラブル時に迅速な対応が受けられ、会社の近くにある登録支援機関を選ぶ
登録支援機関の選び方について、以下の記事でより詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
【特定技能】登録支援機関を変更する流れと選び方を解説!
2.要件を満たしているなら外国人に対する支援は自社でもできる?
前項のとおり、すでに特定技能外国人の受入れ実績があるなど、受入れ機関としての要件を満たしている場合には、自社で支援することも可能です。しかし、自社のみで支援するには、さまざまな課題があります。
課題1.外国人労働者と円滑なコミュニケーションができる人材が必要になる
特定技能外国人を受け入れるには、外国人材が理解できる言語で事前ガイダンスや生活オリエンテーションなどを行わなければなりません。自社で支援するのであれば、通訳、翻訳ができる担当者がいることが望ましいです。
外国人材が日本語を十分理解できていれば問題ありませんが、そうでなければ通訳サービスを利用するか、新しい人材を採用するなどの対応が必要です。
外国人材の日本語能力の向上を促すことも、企業側に求められつつあります。 外国人材の適正な受入れに向けて関係閣僚会議に提言する「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」では、日本語教育に関する制度の設置が検討されている状況です。
課題2.支援の実施報告書を作成・保管する必要がある
特定技能外国人の受入れ企業は、労働環境が適切であることを明示するために3ヶ月に1回、特定技能外国人の支援状況を地方出入国在留管理官署に報告しなければなりません。
支援を委託している場合、以下の書類作成は登録支援機関が行います。
・支援実施状況に係る届出書
・1号特定技能外国人支援対象者名簿
・定期面談報告書
しかし、自社で支援する場合には、上記3つの書類とあわせて以下の書類を自社で作成・保管することが必要です。
・特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況
・賃金台帳の写し(外国人と比較対象日本人)
・相談記録書
自社で支援する場合、事務処理の負担も増加します。
課題3.支援担当者・支援責任者を設置しなければならない
受入れ企業が自社で特定技能外国人を支援するには、外国人労働者の業務サポートを担当する支援担当者・支援責任者(兼任可能)を設置する必要があります。中立性が求められるため、直属の上司は支援担当者・支援責任者になることはできません。人事部などの管理部門が担うことが一般的です。
外国人労働者の支援にあたっては、外国人が理解可能な言語で対応することが必要です。サポートできる人材を新たに雇用しなければならないケースもあるでしょう。
課題4.定期的な面談を実施できるリソースが必要になる
特定技能外国人の義務的支援には定期的な面談も含まれ、労働条件や生活状況などをヒアリングして適切な環境が提供できているか確認します。支援担当者や外国人労働者の上司などは、それぞれ3ヶ月に1回以上、面談を実施しなければなりません。
支援の内製化にあたっては、面談のためのリソースを確保する必要があります。
課題5.内製化することでリスクを伴うケースも多い
委託コストを考え、支援業務の内製化を検討する企業もあるでしょう。
しかし、内製化のために特定の言語に対応できる人材を採用するにはコストがかかります。 内製化でコストを削減できるのは、外国人材の採用人数が多いケースに限られます。企業規模によっては採算が合わないことがあるのです。
また、内製化すると対応漏れが生じがちで、法令違反リスクをともなう点にも注意が必要です。自社に支援のノウハウがなく不安を感じている場合は、まず登録支援機関に委託することをおすすめします。
3.登録支援機関への委託によって解消できること
外国人労働者の支援を登録支援機関に委託することには、メリットが多くあります。現在自社で支援を進める企業であっても、委託することで解消できる課題は多くあります。
支援にかかる負担が減る
特定技能外国人の受入れにあたっては、就労ビザの取得や入国後の手続き、生活オリエンテーションなどを適切に実施する必要があります。支援には社内リソースが必要で、専門的な知識がないと手続きが滞ることも想定されます。
登録支援機関に委託すれば、支援にかかる業務負担を軽減することが可能です。
支援が不十分で雇用が打ち切られる事態を避けられる
自社で支援を実施する場合、支援が不十分だと受入れ機関の義務を果たしていないと見なされ、特定技能外国人を受け入れられなくなるリスクもあります。
現状は問題なく支援できていても、繁忙期における人材不足などで十分な支援ができなくなる可能性もあるでしょう。登録支援機関に委託しておけば、支援が不十分なことによる受入れ停止のリスクも避けられます。
外国人労働者が離職するリスクを抑えられる
内製化により、外国人労働者に適切な支援ができていなかったり、外国人労働者が安心して相談できる環境が整っていなかったりすると、離職のリスクが高まります。
登録支援機関は、第三者的立場で外国人労働者の相談に乗ってくれることから、問題の早期解決につながりやすいと考えられます。
まとめ
特定技能外国人の受入れにあたって義務付けられている支援は、要件を満たせば自社で完結させることも可能です。実際に、介護業界をはじめ一部の企業においては自社で支援しているところもあります。しかし、出入国在留管理庁の調査によると、約8割の企業が登録支援機関に委託しています。
自社で支援を内製化するには、ノウハウがある支援担当者・支援責任者といった人的リソースも必要になります。自社の支援体制に不安があるのなら、登録支援機関への委託を考えましょう。
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