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特定技能「介護」とは?受け入れ要件やポイントを解説


少子高齢化にともない、介護現場での人手不足が顕在化しています。それに加え、介護職は離職率が高い傾向にあるため、人材不足で悩んでいる採用担当者の方は多いのではないでしょうか。近年、注目されているのが特定技能「介護」です。受け入れにはさまざまな要件がありますが、介護分野において即戦力となる特定技能外国人を雇用できるメリットがあります。

今回は、特定技能「介護」の詳細と特定技能外国人を採用する際の受け入れ要件や、ポイントについて紹介します。

目次

1.特定技能「介護」とは

特定技能とは、人材確保が困難な状況の分野において、一定の専門性や技能を有する外国人材を受け入れる制度です。平成31年に施行された取り組みで、介護分野においても特定技能が導入されています。

特定技能には2種類の在留資格があり、それぞれ1号と2号に分類されます。主な違いは以下のとおりです。

特定技能1号

特定産業分野に属する相当程度の知識、経験を必要とする業務に従事。

・在留期間:1年、半年、4ヶ月ごとの更新が必要で通算5年まで
・日本語能力水準:試験で確認(一定基準の日本語能力が担保されている)
・義務的支援:受け入れ機関または登録支援機関による支援が必要

特定技能2号

特定技能1号から移行できる在留資格で、特定産業分野に属する熟練した技能を必要とする業務に従事。

・在留期間:3年、1年もしくは半年ごとに更新(更新の上限なし)
・日本語能力水準:試験などでの確認は不要
・義務的支援:なし

特定技能「介護」は、特定技能1号の対象です。ここからは、特定技能が設立された背景や期待できることについて解説します。

介護分野での深刻な人材不足により導入

厚生労働省の令和4年12月の調査によると、介護サービスの職業の有効求人倍率は4.01倍です。全職種の有効求人倍率は1.35倍であり、介護業界の人材不足が顕著に表われて います。

この傾向は10年以上前から続いていて、常に全職種より有効求人倍率が高い状態で推移しています。また、高齢化にともない2025年までに約32万人、2040年までに約69万人の介護職員を確保する必要があるといわれ、人員の確保が急務となっているのです。

とはいえ介護業界は転職率(または離職率)が高いため、人材確保が難しい状況です。人員不足を解消するために、特定技能外国人を雇用する事業所、施設も少なくありません。

ただし、特定技能外国人も特定技能の要件を満たせば転職可能なため、就業前の丁寧な支援や業務内容、雇用条件などの理解を深めて定着率アップに努めることが大切です。事前に準備しておくと、事業所、施設側と労働者側のミスマッチが防げるメリットもあります。事業所、施設での支援が難しい場合は、第三者に委託することも可能です。

出典:「一般職業紹介状況(令和4年12月分及び令和4年分)について」(厚生労働省)
出典:「第2-(1)-5図 介護・福祉分野の有効求人倍率の推移」(厚生労働省)
出典:「介護人材確保に向けた取り組み」(厚生労働省)
出典:「令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要について」(公益財団法人 介護労働安定センター)

介護分野で受け入れできる在留資格のうち最も即戦力が期待できる

介護業界で受け入れが可能な在留資格は、特定技能1号を含めて5つあります。

介護の外国人材の在留資格別特徴

特定技能1号は、介護スキルや日本語レベルにおいて一定以上の水準があり、介護現場で即戦力としての活躍が期待できます。

通算5年を経過すると帰国する必要がありますが、介護福祉士の国家試験に合格すれば、在留資格「介護」に移行できます。そのため在留期間の制限がなくなり、長期間介護業務に従事することが可能です。

なお、2023年6月からは特定技能2号の業種が拡大されましたが、すでに長期就労が可能な在留資格「介護」があることから、新設は見送られました。

2.特定技能「介護」をもつ外国人材のスキル

特定技能「介護」を取得するには、技能と日本語ともに一定の水準を満たす必要があります。ここからは、特定技能「介護」の取得要件について詳しく解説します。

介護スキル

特定技能「介護」では技能の条件として、以下の試験に合格しなければなりません。

■介護技能評価試験
介護技能評価試験とは、厚生労働省により実施される介護分野の特定技能外国人の技能水準を把握するための試験です。

<試験内容>
・介護の基本
・こころとからだのしくみ
・コミュニケーション技術
・生活支援技術

合格基準は介護業務の基本能力や考え方に基づいて、利用者、入居者の心身の状況に応じた介護を自ら実践できるレベルです。

日本語レベル

特定技能「介護」では日本語水準の条件として、以下の試験の合格が必要です。

■日本語能力試験・国際交流基金日本語基礎テスト
日本語能力試験N4レベル、国際交流基金日本語基礎テストA2レベル以上の日本語能力を判定するための試験です。

■介護日本語評価試験
介護日本語評価試験は、厚生労働省により実施される言語能力を測るための試験です。合格者は、介護現場における専門用語を理解し、業務に支障が出ないレベルといえます。

■試験内容
・介護のことば
・介護の会話、声かけ
・介護の文書

試験合格者は、基本的な日本語のほかに介護に必要な用語も理解しているため、介護現場でも円滑な業務が可能です。

3.特定技能「介護」をもつ特定技能外国人の受け入れ要件

特定技能「介護」をもつ特定技能外国人の受け入れには、以下の要件を満たす必要があります。

対象施設

特定技能「介護」をもつ特定技能外国人の対象施設は以下のとおりです。

・児童福祉法関係の施設、事業
児童発達支援、放課後デイサービス、障害児入所施設、児童発達支援センターなど

・障害者総合支援法関係の施設、事業
障害者支援施設、療養介護、生活介護、自立訓練、就労移行支援など

・老人福祉法、介護保険法関係の施設、事業
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、指定通所リハビリテーション、老人デイサービスセンターなど

・生活保護法関係の施設
救護施設、更生施設

・その他社会福祉施設
地域福祉センター、労災特別介護施設など

・病院または診療所
訪問系サービスでの特定技能外国人の受け入れは対象外なので注意が必要です。有料老人ホームに該当する場合も、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅など、住宅に出向いての介護サービスの場合は対象外です。

雇用形態

特定技能外国人の雇用形態は直接雇用が基本です。派遣社員としての雇用は認められていません。また、フルタイムの雇用が必須であり、短期勤務やアルバイトも禁止されています。

業務内容

特定技能外国人の主な業務内容は、身体介護と支援業務です。身体介護では、利用者様の心身の状態を観察した上で、適切な入浴介助や食事、排泄の介助を行います。支援業務には、レクリエーションの実施、機能訓練の補助などがあります。また、補助的な役割として、身体介護や支援業務に付随する業務を行うことも可能です。

受け入れ人数

受け入れ人数に関しては、ひとつの事業所に対して日本人等の常勤介護職員の人数が上限です。

日本人等とは、日本人の介護職員、EPA介護福祉士、在留資格「介護」、永住者、日本人の配偶者等の在留資格を所持している者を示します。ただし、技能実習生、留学生、EPA介護福祉士候補者は日本人等に含まれません。

報酬

特定技能外国人に対して、同業種の日本人の社員と同等以上の報酬を支払う必要があります。研修期間やほかの福利厚生も日本人の社員と変わりません。

4.特定技能「介護」をもつ外国人材を採用するときのポイント

特定技能外国人を採用する前に、準備すべきことがあります。特定技能「介護」をもつ特定技能外国人を雇用する受け入れ機関は、以下の点について確認しておきましょう。

1号特定技能外国人支援計画の作成と支援実施

特定技能外国人を採用する受け入れ機関は、職業生活上、日常生活上または社会生活上の支援の実施に関する計画を作成し、計画に基づいて支援を行う必要があります。

支援計画には事前ガイダンスや住居の確保、定期的に実施する必要がある支援などについて記載しなければなりません。

特定技能外国人を受け入れる際に必要な支援について、詳しくはこちらの記事で解説しています。

登録支援機関に委託できる義務的支援の内容!委託は必須?

地方出入国在留管理局への届出

受け入れ機関(登録支援機関)は、地方出入国在留管理局へ各種届出を随時または定期に行う必要があります。それぞれの届出は以下のとおりです。

■随時の届出

・特定技能雇用契約および登録支援機関との支援委託契約に係る変更、終了、新たな契約の締結に関する届出
・支援計画の変更に係る届出
・特定技能外国人の受入れ困難時の届出
・出入国または労働関係法令に関する不正行為等を知ったときの届出
・外国人を雇い入れたとき、または離職したときに氏名や在留資格等の情報を届出

■定期の届出

・特定技能外国人の受入れ状況や活動状況に関する届出
・支援計画の実施状況に関する届出

まとめ

特定技能「介護」をもつ外国人は、一定水準以上の介護スキルと日本語レベルを習得しています。そのため、介護現場での人材不足解消の目的で、特定技能外国人の雇用を検討している事業所、施設が増えています。

とはいえ、特定技能「介護」をもつ外国人を受け入れるには、雇用形態や業務内容などの要件を満たさなければなりません。支援計画の作成や各種届出などの手続きもあり、思いのほか時間がかかってしまいます。

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